年次有給休暇と土日祝日手当の支払い

年次有給休暇と土日祝日手当の支払い

当社は土日祝日が忙しいので、土日祝日に出勤した従業員には、時間給を200円加算して支払っています。従業員が日曜日に年次有給休暇を取得した場合は、200円を加算した時間給で計算して支払う必要がありますか?

支払う必要はないと考えられますが、就業規則(賃金規程)で明確に規定しておくことが望ましいです。

例えば、通常の時間給を1,200円、土日祝日の時間給を1,400円としていたとします。普通に日曜日に6時間の勤務をしたときは、1,400円×6時間=8,400円の賃金を支払います。

同じ日曜日に年次有給休暇を取得したとすると、同様に8,400円の支払い義務があるのか、7,200円(=1,200円×6時間)を支払えば良いのか、2通りの方法が考えられます。

そもそも会社が時間給を200円加算しているのは、土日祝日の従業員の確保や土日祝日の出勤に対する従業員の不満解消が目的と考えられます。

年次有給休暇を取得した場合は、実際には出勤していませんので、会社は従業員を確保できていませんし、従業員に不満が生じることもありません。目的に照らし合わせると、加算しない賃金(7,200円)を支払えば問題はないと考えられます。

また、労働基準法第39条第9項によって、年次有給休暇を取得したときは、次のいずれかの方法で賃金を支払うことが定められています。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
  3. 健康保険の標準報酬月額の30分の1に相当する金額

土日祝日に勤務した場合という条件付きで特別に加算する部分は、2.の「通常の賃金」に含まないと考えられます。1.及び3.は、それぞれの額が自動的に決まりますので、考える必要はありません。

しかし、従業員の立場で考えると、「年次有給休暇を取得した日は出勤したものとみなすから、加算した賃金を支払うべきである」という主張も一理あります。

トラブルを防止するために、就業規則(賃金規程)に明確に規定することが望ましいです。

土日祝日手当でも何でも良いですが、加算部分に名称を付けて、「土曜日、日曜日、祝日のいずれかの日に実際に出勤したときは、土日祝日手当を支給する」のように規定すれば、年次有給休暇を取得した日は“実際に出勤したとき”に該当しませんので、支給対象外であることが明確になります。

就業規則(賃金規程)に明確に規定しておけば、労働契約(労働条件)として成立します。また、就業規則に記載していれば、従業員に説明しやすいです。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。