年次有給休暇による賃金の二重支払い

年次有給休暇による賃金の二重支払い

当社のパートタイマーはシフトで勤務をしているのですが、シフトを決定した後に年次有給休暇を取得されると、その穴埋めをするために代わりのパートタイマーに出勤してもらわないといけません。結果的に2倍の賃金を支払うことになりますが、何とかならないのでしょうか?

原則的には、パートタイマーであっても年次有給休暇の申出は拒否できませんので、代わりのパートタイマーに出勤してもらうと、そうなってしまいます。労働基準法上、仕方がありません。

対策としては、年次有給休暇を取得することを前提にして、採用時の賃金を低く設定する方法が最善策と思います。

他に考えられる対策としては、業務内容によりますが、代わりのパートタイマーを出勤させない方法です。当然、賃金は2倍になりません。

年次有給休暇を取得しても補填をしないことにして、他のパートタイマーの迷惑になることを自覚すれば、年次有給休暇の取得が抑えられるかもしれません。また、事前に調整をしたりして、補填をしなくても上手に業務を回す方法を自主的に考え出すかもしれません。

また、職種が複数ある会社の場合は、複数の職種が行えるようパートタイマーを教育(多能工化)して、全員で業務を分担して効率的に配置をすれば、補填をしないでも乗り切れるのではないでしょうか。

若しくは、法律的に微妙な所がありますので、安易にお勧めできませんが、年次有給休暇を取得しないで頑張っているパートタイマーを高く評価することです。逆に言うと、年次有給休暇を取得したパートタイマーの評価を低くすることになります。

しかし、年次有給休暇を取得したことを理由にして、従業員を不利益に取り扱うことが、労働基準法により禁止されています。年次有給休暇の取得の有無を評価に直結することは問題ですので、勤務態度や全体的な頑張りを評価したというものでないといけません。

個人的には、補填をしないで多能工化を進めるか、補填が避けられない場合は年次有給休暇の取得を前提として賃金を設定する方法が良いと思います。

なお、年次有給休暇の申出があったときは、会社は原則的には拒否できません。しかし、「年次有給休暇を取得するときは、業務に支障が生じないよう事前に調整して欲しい」と”お願い”することは構いません。