年次有給休暇による賃金の二重支払い

年次有給休暇による賃金の二重支払い

当社のパートタイマーはシフトで勤務をしているのですが、シフトを決定した後に年次有給休暇を取得されると、その穴埋めをするために代わりのパートタイマーに出勤してもらわないといけません。結果的に2倍の賃金を支払うことになりますが、何とかならないのでしょうか?

原則的には、パートタイマーであっても年次有給休暇の申出は拒否できませんので、代わりのパートタイマーに出勤してもらうと、そうなってしまいます。労働基準法上、仕方がありません。

対策としては、2通りの方法が考えられます。まずは、年次有給休暇を取得することを前提にして、採用時の賃金を低く設定する方法です。

年次有給休暇の取得を想定していないから、パートタイマーが年次有給休暇を取得して、別のパートタイマーを補充すると、人件費が計画よりオーバーしてしまいます。

仮に、20日に1日の割合で年次有給休暇を取得したとすると、補充することで増える人件費は約5%です。人件費の予算を5%アップするか、時間給を5%引き下げるか、もしくは両方を少しずつですが、在籍している者の賃金を引き下げることは困難です。

今後、採用するパートタイマーから時間給を見直すことを検討してはいかがでしょうか。

次に考えられる方法としては、パートタイマーを補充しない方法です。業務内容によっては不可能な職場もありますが、当然、賃金は2倍にはなりません。

職種が複数ある会社の場合は、複数の職種が行えるようパートタイマーを教育(多能工化)して、全員で業務を分担して効率的に配置をすれば、補充をしないでも乗り切れるのではないでしょうか。

もしくは、会社として無策のまま補充をしなければ、現場で事前に調整をしたりして、補充しなくても上手に業務を回す方法を自主的に考え出すかもしれません。

また、望ましい考え方ではありませんが、年次有給休暇を取得しても補充しなければ、他のパートタイマーの迷惑になると考えて、年次有給休暇の取得が抑えられるかもしれません。

個人的には、補充をしないで多能工化を進めるか、補充が避けられない場合は年次有給休暇の取得を前提として賃金を設定する方法が良いと思います。

なお、年次有給休暇の申出があったときは、会社は原則的には拒否できません。しかし、「年次有給休暇を取得するときは、業務に支障が生じないよう事前に調整して欲しい」と”お願い”することは構いません。