年次有給休暇の補充で賃金が2倍に

年次有給休暇の補充で賃金が2倍に

シフト勤務のパートタイマーが年次有給休暇を取得して、別のパートタイマーを補充すると、結果的に2倍の賃金を支払うことになります。何とかなりませんか?

パートタイマーを補充すると、そうなってしまいます。それを前提にして賃金を決定したり、補充しないで業務に支障が生じないよう工夫をすることが考えらえます。

従業員が年次有給休暇の取得を請求したときは、原則として、会社は拒否できません。業務に支障が生じない最小限の人員を配置している職場で、年次有給休暇を取得されると、別の者を配置して補充する必要があります。

シフト制で勤務をする時間給のパートタイマーで考えると、結果的にその日は2倍の賃金を支払うことになります。労働基準法に当てはめて考えると、仕方がないことです。賃金の支払い義務を回避する方法はありません。

対策としては、2つの方法が考えられます。まずは、年次有給休暇を取得することを前提にして、採用時の賃金を低く設定する方法です。

年次有給休暇の取得を想定していない状態で、パートタイマーが年次有給休暇を取得して、別のパートタイマーを補充すると、人件費が予算を超えてしまいます。

しかし、労働基準法(第39条)によって、1年に5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務付けられていますので、年次有給休暇を取得しない職場はあり得ません。

仮に、20日に1日の割合で年次有給休暇を取得したとすると、補充することで増える人件費は約5%です。人件費の予算を5%引き上げるか、パートタイマーの時間給を5%引き下げるか、どちらかですが、在籍しているパートタイマーの賃金を会社が一方的に引き下げることはできません。

人件費の予算を引き上げながら、今後、採用するパートタイマーの時間給を引き下げる方法が現実的と思います。

次に考えられる方法としては、パートタイマーを補充しない方法です。業務内容によっては不可能な職場があると思いますが、補充しなければ、人件費が予算を超えることはありません。

複数の職種がある会社は、複数の職種が行えるように、パートタイマーを教育(多能工化)して、全員で業務を分担して効率的に処理できれば、補充しないでも乗り切れると思います。

若しくは、会社として無策のまま補充をしなければ、現場で事前に調整をしたりして、補充しなくても上手に業務を回す方法を自主的に考え出すかもしれません。

なお、従業員が年次有給休暇を請求したときは、会社は拒否できませんが、「年次有給休暇を取得するときは、業務に支障が生じないよう事前に調整して欲しい」と”お願い”をすることは可能です。


執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。中小零細企業の就業規則に関する悩みは全て解決いたします。日々の業務やホームページでは、分かりやすく伝えることを心掛けています。