解雇制限と打切補償

解雇制限と打切補償

従業員が仕事中に大怪我をして、勤務できなくなったとしても、会社は解雇できないのでしょうか?

仕事を原因とする怪我や病気については、会社に責任がありますので、解雇することはできません。私生活上の怪我や病気とは取扱いが異なります。

労働基準法により、仕事が原因で、従業員が怪我や病気をして、その傷病により、休業している期間、及び、その後の30日間は、解雇が禁止されています。これを「解雇制限」と言います。

ただし、永遠に解雇ができないと経営に支障が生じることから、休業期間が3年を経過して、会社がその従業員に「打切補償」を支払った場合は、例外的に、解雇制限が外れて解雇が可能になります。

なお、「打切補償」とは、平均賃金の1200日分のことを言います。平均賃金が1日1万円とすると、1200万円になります。業務上の傷病については、会社に責任があるため、解雇をする場合は、それだけの補償をすることが義務付けられています。

しかし、小規模企業がこのような支払いをすることは困難と思います。打切補償を支払う以外に、休業期間が3年を経過して、労災保険法による傷病補償年金を受給することになった場合は、打切補償を支払ったものとみなされます。

これにより、会社は打切補償を支払うことなく、解雇が可能になります。小規模企業では、こちらの方法が現実的と思います。