育児休業中の賞与の支払い

育児休業中の賞与の支払い

育児休業中の従業員には賞与を支払わなくても問題はないでしょうか?

育児休業中であることを理由にして、賞与を不支給とすることはできません。

育児介護休業法(第10条)によって、次のように規定されています。

「事業主は、労働者が育児休業申出等をし、若しくは育児休業をしたこと・・・を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

従業員が育児休業をしたことを理由にして、不利益な取扱いをすることが禁止されています。

そして、育児介護休業法の指針(ガイドライン)によって、不利益な取扱いの1つとして、賞与において不利益な算定を行うことが例示されています。

例えば、賞与の支給対象期間のうち、半分は育児休業をして、半分は通常勤務をしたとすると、全期間通常勤務をしたと仮定した場合の賞与の半額は支払う必要があります。

賞与の支給日が育児休業中であったとしても、通常勤務をした期間の割合に応じて賞与を支払わないと、不利益な取扱いに該当します。つまり、法律違反になります。

育児休業をした期間に応じて賞与を減額することは可能ですので、賞与の支給対象期間の全部を休業した従業員については、賞与を支払う義務はありません。

以上の取扱いについては、介護休業を取得した場合も同じです。

更に、男女雇用機会均等法でも同様に、妊娠したこと、出産したことを理由にして、不利益な取扱いをすることが禁止されています。

したがって、産前産後休業の期間についても、通常勤務をした期間の割合に応じて賞与を支払うことが義務付けられます。

育児休業の場合と同様に、休業期間の割合に応じて賞与を減額することは可能ですが、「賞与の支給日に休業しているから、賞与を支払わなくても良い」ということにはなりません。

以上の取扱いは、法律上の最低限の取扱いとして定められているものですので、満額の賞与を支払ったりして、従業員にとって有利な取扱いをすることは差し支えありません。