養育期間標準報酬月額特例申出書
養育期間標準報酬月額特例申出書
従業員が育児休業から復帰して、当分の間は短時間勤務で働く予定です。社会保険料(厚生年金保険と健康保険の保険料)に関して、何か優遇措置があるのでしょうか?
標準報酬月額が低下した場合でも、届出をすれば、子を養育する前の標準報酬月額に基づいて、将来の年金額が計算されます。
育児休業の期間中は、社会保険料(厚生年金保険と健康保険の保険料)の納付が免除されるなど、育児と仕事を両立するための支援制度が用意されています。
育児休業から復帰したときも、随時改定(月額変更届)の条件が通常より緩和されて利用しやすくなっています。これとは別に、厚生年金保険に関して、支援制度が用意されています。
将来受給する老齢厚生年金等の年金の額は、現役時代の標準報酬月額を基準にして算出されます。厚生年金保険の保険料は、「標準報酬月額×厚生年金保険料率」で計算しますので、標準報酬月額が高ければ、納付する保険料が高くなって、受け取れる年金も高くなります。
また、育児介護休業法によって、3歳未満の子を養育する従業員は、1日の所定労働時間を6時間とする所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)を申し出ることができます。
会社は従業員の申出に応じないといけませんが、賃金は短縮した時間に応じて減額できます。例えば、所定労働時間が1日8時間から1日6時間に短縮したときは、基本給等を6/8に減額する方法が基準になります。
そうすると、社会保険の随時改定(月額変更届)の対象となって、標準報酬月額が低下するケースがあります。標準報酬月額が低下すると、社会保険料も引き下げられます。
従業員は負担が軽減されて喜ぶかもしれませんが、将来受給する老齢厚生年金等の年金額が標準報酬月額に応じて引き下げられます。
これが原則ですが、育児をする従業員が不利益を受けないように、優遇措置が設けられています。
「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書」を事務センター又は年金事務所に届け出れば、社会保険料は引き下げたまま、標準報酬月額は子を養育する前の等級とみなして、年金額が計算されます。
なお、養育期間標準報酬月額特例申出書を提出するときは、原則として、次の書類を添付することになっています。
- 戸籍謄(抄)本、又は、戸籍記載事項証明書・・・親子関係を確認するため
- 住民票(個人番号の記載がないもの)・・・同居していることを確認するため
この制度は、3歳未満の子を養育する従業員であれば、短時間勤務(所定労働時間の短縮措置)を利用していなくても、申し出ることができます。
女性従業員に限らず、男性従業員も利用できますが、余り知られていない制度のため、利用できるにもかかわらず、届出をしていないケースがあります。なお、2年前までは、さかのぼって届け出ることが可能です。
制度上、養育期間標準報酬月額特例申出書は、従業員が会社に申し出て、会社が提出することになっています。会社から従業員に制度の説明をして、本人が希望すれば手続きをしてください。書類を用意する手間が掛かりますが、届出によるデメリットはありません。
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