育児短時間勤務と育児時間の併用

育児短時間勤務と育児時間の併用

会社の育児介護休業規程で定めている育児短時間勤務の制度を利用している女性従業員が、就業規則で定めている育児時間を同時に利用できるのでしょうか?

それぞれ根拠となる法律が異なりますので、それぞれの要件を満たしていれば、同時に利用できます。

育児短時間勤務については、育児介護休業法(第23条)で、次のように規定されています。

「事業主は、その雇用する労働者のうち、その3歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないものに関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置を講じなければならない。・・・」

この規定を受けて、厚生労働省令(育児介護休業法の施行規則)で、次のように規定されています。

「法第23条第1項に規定する育児のための所定労働時間の短縮措置は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければならない。」

これらの規定に基づいて、会社の育児介護休業規程には、「3歳未満の子を養育する従業員が申し出たときは、1日の所定労働時間を6時間に変更できる」といった内容が規定されていると思います。

次に、育児時間については、労働基準法(第67条)で、次のように規定されています。

「生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。」

この規定に基づいて、就業規則には、「1歳未満の子を養育する女性従業員が請求したときは、休憩時間の他に、1日2回それぞれ30分の育児時間を与える」といった内容が規定されていると思います。

両方の規定(制度)を照らし合わせると、“1歳未満の子を養育する女性従業員”は、両方の要件を満たしていることが分かります。

また、両方の法律で相互に調整や制限をする規定はありませんので、それぞれの要件を満たしていれば、同時に両方の制度を利用できます。

両方とも育児を手助けするという大きな趣旨や目的は同じですが、制度の出発地点が異なることから、別々に成立すると考えることもできます。

育児短時間勤務は、仕事と育児を両立することを目的とした制度で男性従業員も利用可能です。一方の育児時間は、生児を育てることを目的とした制度で女性従業員に限定しています。制定当初は授乳が想定されていましたが、取得理由は問いません(託児所への送迎等も可能です)。