管理監督者による育児休業の申出

管理監督者による育児休業の申出

管理監督者が育児休業を申し出たときは、会社は認めないといけないでしょうか?また、育児休業に関連する他の制度はいかがでしょうか?

管理監督者であっても育児休業を取得できますので、申出があったときは応じる必要があります。

育児介護休業法によって、育児休業を申し出ることができない者(会社が申出を拒否できる者)として、次の者が挙げられています。

  1. 日々雇用される者
  2. 期間を定めて雇用される者(子が1歳6ヶ月になる前に退職することが明らかな者)
  3. 労使協定で定めた次の者
    • 勤続年数が1年未満の者
    • 育児休業を申し出た日から1年以内に退職することが明らかな者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の者

管理監督者はどれにも該当しませんので、育児休業の取得を申し出たときは、会社は応じないといけません。なお、「3.労使協定で定めた者」は上の3つに限定されていますので、管理監督者を追加することはできません。

管理監督者については、経営者と一体的な立場で仕事をして、出退勤の時刻を自らの裁量で決められることから、労働基準法によって、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されています。

休暇や休業に関する規定の適用は除外されていませんので、管理監督者であっても、年次有給休暇や産前産後休業、育児休業も取得することができます。介護休業も同じです。

そして、育児介護休業法では、育児休業の他に、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、短時間勤務などを請求できることが定められています。

管理監督者については、このような請求をしなくても、自らの裁量で出退勤の時刻(労働時間)を決められることから、これらの規定は対象外とされています。「希望するのでしたら、会社の許可は不要ですので、勝手にそのようにしてください」ということになります。

ただし、管理監督者であっても、労働基準法において、深夜業に関する規定の適用は除外されていませんので、管理監督者が深夜勤務をしたときは、割増の深夜勤務手当を支払う必要があります。

法律上は、管理監督者も深夜業の制限を請求することは可能と考えられますが、特別な事情でもない限り、会社が出退勤の時刻を制限することはできません(管理監督者として否定されます)ので、実務上は、これも本人の裁量に委ねることになると思います。

ところで、一般の従業員が短時間勤務を請求して、例えば、1日8時間勤務から1日6時間勤務に変更したとすると、賃金を8分の6に減額することが可能です。遅刻や早退と同じ取扱いになります。

しかし、管理監督者が短時間勤務を希望して、会社が賃金を減額しようとする場合は、縮小する業務等について話し合った上で、本人から同意を得る必要があります。会社が一方的に賃金を減額すると、育児介護休業法で禁止されている不利益な取扱いと判断されますし、労働契約法にも違反する行為となります。