育児休業中の代替要員の解雇

育児休業中の代替要員の解雇

育児休業を予定している従業員がいるため、新しく採用することを考えています。その後、育児休業を終了した従業員が職場に復帰したときは、採用した代替要員には退職してもらいたいと考えています。問題にならないでしょうか?

問題が生じないように、代替要員は期間を定めて雇用するか、育児休業の期間だけ派遣社員を受け入れる方法が考えられます。

育児休業による欠員を補充するために、代替要員として新規採用をして、その後、育児休業から復帰したときに、入れ替わりで新規採用の方に退職してもらうということですが、その場合に想定されるトラブルとしては、「雇用されると期待していたのに解雇された」と主張されるケースです。

そのようなトラブルを防止するために、長期雇用を期待させないことが重要です。

まずは、育児休業を予定している従業員に対して、いつまで育児休業を取得するのか、育児休業申出書を提出するよう指示してください。また、育児休業を延長する見込みがあるかどうか、聴いておくと良いでしょう。

そして、その代替要員として新規採用の募集をするときは、育児休業の期間に合わせて、期間を定めた雇用であることを明確にします。

また、採用面接の際は、育児休業を取得する従業員の代替要員として採用すること、そのため、雇用契約は更新しないことを応募者に説明します。

従業員を採用するときは、労働条件を明示することになっていますが、「労働契約の期間」については、書面(雇用契約書や労働条件通知書)で明示することが義務付けられています。

雇用契約書や労働条件通知書には、具体的な労働契約の期間を記載します。具体的な期間を定めていないと、従業員は長期雇用を期待しますので、会社から退職するよう求めたり、解雇しようとするとトラブルになります。

また、有期労働契約を締結する場合は、更新の有無、及び、更新の判断基準を記載する必要があります。

有期労働契約の更新について、育児休業の代替要員として雇用する場合の記載例としては、「更新しない。ただし、育児休業をしている者が休業期間を延長するときは、更新することがある。」のようになります。

原則的には更新しないけれども、育児休業の期間を延長する場合は更新することがあるという構成になります。なお、当初の契約期間の満了時に、会社が更新したいと思っても、原則的には、一旦、有期労働契約は終了しますので、更新する場合は本人から同意を得る必要があります。

また、更新する場合も、労働契約の期間、更新の有無、更新の判断基準について、改めて雇用契約書や労働条件通知書を作成して、本人に交付する必要があります。

そして、予定どおり育児休業の期間が終了したときは、復帰する従業員と入れ替わりで、代替要員の方は契約期間の満了によって退職すること(雇止め)になります。引継ぎ等を想定して、重複する期間を設けることもあります。

育児休業の期間について、期間を定めて雇用する方法で説明しましたが、派遣従業員を受け入れて対応する方法もあります。

ところで、代替要員として期間を定めて雇用するつもりだったけれども、今後も勤務を継続してもらいたいと思うような優秀な人材と出会うことがあります。

育児休業から復帰する従業員については、厚生労働省の指針によって、原職に復帰させるよう配慮することが示されています。また、育児休業を取得した従業員を不利益に取り扱うことが禁止されていますので、もし、別の部署に異動する場合は、本人の同意を得て行うことが望ましいです。