健康診断と労働時間

健康診断と労働時間

当社では毎年1回、定期健康診断を行っていますが、健康診断を受けている時間は仕事をしていないので、遅刻と同じように賃金から控除しても良いのでしょうか?

法律的には控除しても構いませんが、できれば控除しない方が良いです。

まず、健康診断は、特殊健康診断と一般健康診断に区別されます。

「特殊健康診断」は、有機溶剤を取り扱う業務等、特定の有害な業務を行っている職場で義務付けられている健康診断のことを言います。

一方、「一般健康診断」は、一般的な健康の確保を図ることを目的として義務付けられている健康診断のことを言います。普通の職場で行われている定期健康診断は、こちらです。

そして、「特殊健康診断」は、業務と関連して(業務の一環として)行われるものですので、特殊健康診断を受ける時間は労働時間と位置付けられています。したがって、この場合は、通常の勤務をしているものとみなして、賃金を控除することはできません。

一方、通常の「一般健康診断」は、業務と関連して行われるものではありません。つまり、一般健康診断を受ける時間は労働時間ではありませんので、法律的には会社は賃金を支払う義務はありません。この場合は、賃金を控除することは可能です。

しかし、賃金を減額されるのは従業員にとっては嫌なものです。「会社の指示で健康診断を受けているのに、賃金を減額されるのは納得できない」という気持ちも理解できます。「そんなことだったら健康診断は受けたくない」と言われると面倒です。

最近は従業員の健康状態を把握する必要性が高まっていることから、健康診断は所定労働時間内に行って、賃金を控除しない取扱いが望ましいです。