健康診断の結果を理由とする採用の拒否

健康診断の結果を理由とする採用の拒否

雇入れ時の健康診断の結果が良くなかった場合、採用を拒否しても良いですか?

健康診断の結果が良くなかったことだけを理由にして、採用を拒否することは難しいです。

労働安全衛生法によって、従業員を採用したときは、健康診断を実施することが義務付けられています。

通常は採用の内定を通知した後に行いますが、内定を通知した後に採用を拒否する行為は解雇に該当しますので、正当な解雇理由が不可欠です。

労働契約法(第16条)の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」が適用されます。

ところで、採用の内定を出す前に(採用の選考の一環として)健康診断を実施している会社がありますが、就職差別に繋がる恐れがありますので、厚生労働省としては適切ではないと考えられています。

雇入時の健康診断は、入社後の適正配置や健康管理に役立てることを目的とした制度で、採用の選考のために行うものではありません。

なお、採用面接の際に(内定を出す前に)、「病気を理由に会社(学校)を休んだことはありましたか?」「それは1年で何日くらいでしたか?」といった質問をすることは問題ありません。

また、業務に支障が生じる可能性がある場合は、どのような病気なのか、再発の可能性はあるのか、残業できる体力はあるのかと確認することも可能です。もちろん、興味本位で聴くことは許されません。

そして、内定後に実施した健康診断の結果が良くなかったというだけで、業務にどの程度の支障が生じるのか分からない状況では、正当な解雇理由とは認められにくいです。

例えば、試用期間中の出勤率が8割に満たない程度であれば、正当な解雇理由と認められる可能性が高いです。

要するに、予定していた業務を遂行できなければ解雇は認められるのですが、実際に勤務してみないと分からないケースが多いと思います。そのようなことを確認するために、試用期間があると考えられます。