一時的に週20時間以上になった場合の雇用保険の加入義務

一時的に週20時間以上になった場合の雇用保険の加入義務

1週間の所定労働時間が18時間で雇用保険に加入していないパートタイマーがいます。残業をして、実働時間が20時間を超える週が時々ありますが、雇用保険の加入義務はどのように考えれば良いでしょうか?

1週間の実働時間が20時間を超える週が、一時的なものと判断されれば、雇用保険に加入する義務はありません。

一般企業においては、次の2つの条件を満たしている者については、雇用保険に加入しないといけません。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  2. 31日以上雇用する見込みがある

「1週間の所定労働時間」となっていますが、これは定時の労働時間のことで、時間外労働の時間(残業時間)や休日労働の時間は含みません。

なお、1週間の所定労働時間が20時間“以上”の場合に加入義務がありますので、1週間の所定労働時間がちょうど20時間のときは加入義務があります。

従業員を採用するときは、労働基準法によって、雇用契約書や労働条件通知書を交付して、本人に労働条件を明示することが義務付けられています。明示する労働条件として、労働時間に関する事項が定められています。

通常は、始業時刻、終業時刻、休憩時間、休日、変形労働時間制の適用等を記載しますので、1日の所定労働時間、1週間の所定労働時間が明らかになります。

シフト制で採用する場合は、労働時間や出勤日数について、基準を明示したり、最大・最小のものを明示したりすることになっています。

雇用契約書や労働条件通知書を確認して、1週間の所定労働時間が20時間未満になっていれば、一時的に、残業時間を含めた実働時間が20時間を超える週があったとしても、雇用保険の加入が義務付けられることはありません。

これは、実働時間が20時間を超える勤務が”一時的なもの”と判断された場合の取扱いで、20時間を超える勤務が”常態的なもの”と判断された場合は、雇用保険の加入が義務付けられます。

一時的か常態的かは、その都度の状況によって、ケースバイケースで判断されます。

雇用保険について、具体的な基準は厚生労働省から示されていませんが、繁忙期等の特別な事情がなく、2ヶ月連続でそうなっていて、3ヶ月目以降もそうなることが見込まれる場合は、常態的と判断される可能性が高いです。

なお、社会保険(厚生年金保険と健康保険)の特定適用事業所については、1週間の所定労働時間が20時間以上であることが加入要件の1つとして定められていて、一時的に変動する場合の取扱いが上のように定められています。雇用保険においても、”一時的”の考え方の参考になると思います。

反対に、1週間の所定労働時間が20時間以上で雇用保険に加入している従業員が、一時的に実働時間が20時間未満になったとしても、雇用保険の加入は継続することになります。

例えば、育児や介護のために、元の労働時間に復帰することを前提にして、短時間勤務制度を利用する場合は、一時的なものと判断されます。

社会保険(健康保険と厚生年金保険)についても言えることですが、加入基準の前後で変動があるとトラブルになりやすいので、特に加入しない場合は、残業時間を含めた実働時間が加入基準を上回らないよう注意してください。

もしくは、加入基準を上回ったり、下回ったりする勤務を常態とする場合は、雇用保険の加入について、本人と話し合った上で、雇用契約書を締結し直す方法が望ましいです。