兼業時の雇用保険の加入

兼業時の雇用保険の加入

週20時間勤務でアルバイトを採用したのですが、「雇用保険は他社で加入しているから、こちらでは加入しなくて良い」と言ってきました。本当に加入しなくても問題ないでしょうか?

雇用保険は1人につき1社でしか加入できません。通常は賃金が高額の会社で加入しますので、貴社の方が低額の場合は貴社で雇用保険に加入しなくても構いません。

雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上の者に対して、加入が義務付けられます。“以上”はその時間も含みますので、1週間の所定労働時間が丁度20時間の者も、原則的には加入義務があります。

しかし、2つの会社で兼業していて、同時に両方の会社で雇用保険の加入要件を満たしている場合は、1人につき1社でしか加入できません。

通常は、賃金が高額の会社で加入することになっていて、もう一方の会社については、雇用保険の加入手続きは不要です(加入できません)。なお、加入する企業は賃金額で比較しますので、所定労働時間の長さは関係ありません。

雇用保険に加入していない従業員については、当然、雇用保険の保険料は掛かりませんので、賃金から控除する必要はありません(控除してはいけません)。

その後、雇用保険に加入している他社を退職した場合は、貴社で雇用保険に加入することになります。その場合は、失業状態ではありませんので、雇用保険の失業給付は支給されません。

失業給付は、両方の会社を退職して、失業状態(就職する意思と能力があるけれども就職できない状態)になった場合に支給されます。

その際は、雇用保険に加入していた会社で支払われた賃金(失業前6ヶ月の賃金)が基準になります。したがって、兼業している場合の失業給付は1社分のみで低額になってしまいます。もし、賃金が低額の会社で雇用保険に加入すると、失業給付は更に低額になります。

なお、労災保険については、A社とB社で兼業をしていて、A社の勤務時間中に労災事故に遭った場合は、A社とB社の賃金を合算した額を基準にして、休業補償給付等の支給額が決定されます。