雇用保険の遅延理由書
雇用保険の遅延理由書
以前に従業員を採用したのですが、雇用保険の資格取得届の手続きを忘れていて、ハローワークに届け出たところ、遅延理由書を提出するよう求められました。どうすれば良いでしょうか?
手続きが遅れた理由を記載した「遅延理由書」を作成して、ハローワークに提出してください。
雇用保険の加入要件は、次のように定められています。
- 31日以上雇用する見込みがある
- 1週間の所定労働時間が20時間以上である
両方の要件を満たしている者を採用したときは、パートタイマーやアルバイト等の名称に関係なく、雇用保険に加入しないといけません。
その場合は、「雇用保険被保険者資格取得届」を作成して、ハローワーク(公共職業安定所)に、採用した月の翌月10日までに届け出ることが、雇用保険法(施行規則)によって義務付けられています。例えば、入社日が4月1日(から4月30日)の場合は、5月10日が提出期限になります。
要件を満たしていれば、入社日から雇用保険の被保険者となりますので、3ヶ月の試用期間が終わってから加入手続きをするというのは間違いです。
そして、雇用保険被保険者資格取得届の提出を怠ったまま、6ヶ月以上さかのぼって加入する場合(入社日が4月1日の場合は10月1日以降に加入手続きをする場合)は、手続きが遅れた理由を記載した書面を提出するよう求められます。
既に6ヶ月以上が経過して、遅延理由書の提出を求められることが分かっている場合は、最初から雇用保険被保険者資格取得届に遅延理由書を添付して提出しても構いません。
遅延理由書の様式は決まっていませんが、厚生労働省から様式例が公開されていますので、そのような形式で作成するとスムーズに処理されます。よろしければ、ダウンロードして編集してご利用ください。
手続きが遅れた理由は、その都度の状況によりますが、通常は次のような理由が考えられます。具体的な理由の記載は求められません。
- 弊社事務担当者の認識不足のため
- 弊社事務担当者が失念していたため
- 社内の事務連絡に不手際があったため
さかのぼって雇用保険に加入する場合は、従業員から雇用保険の保険料をさかのぼって控除して、年度更新の手続き(労働保険料の申告・納付)も適正に処理をする必要があります。さかのぼる期間が前の年度に及んで、申告・納付期限が既に経過している場合は、年度更新の手続きをやり直さないといけません。
雇用保険法において時効は2年と定められていますので、原則として、遅延理由書によって最大2年前までさかのぼって雇用保険に加入できます。
それ以前から、雇用保険料を賃金から控除していたことが給与明細書や賃金台帳で確認できる場合は、2年前より更に前の日にさかのぼって加入できることがあります。失業給付の受給額にも影響しますので、2年以上前に採用していた場合は、ハローワークに相談した方が良いです。
もし、会社のミスでさかのぼって雇用保険に加入できなければ、本来の失業給付の受給額との差額を支払うように、従業員から請求される恐れがあります。面倒な手間が増えたりしますので、最初から適正に手続きをしておくことが重要です。
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