早期退職者の離職票の作成義務

早期退職者の離職票の作成義務

入社して3ヶ月しか勤務していない従業員が、自己都合で退職届を提出しました。雇用保険の資格喪失の手続きを行いますが、離職票(離職証明書)は作成しないといけませんか?

本人が希望する場合は、離職票(離職証明書)を作成しないといけません。

従業員が退職して再就職するまでの失業期間中は、雇用保険から失業給付が支給されます。失業給付の支給額は、原則として、退職日の直近6ヶ月に支払われた賃金総額を180日で割った賃金日額を基準にして、45%から80%の給付率を掛けて算出されます。

直近6ヶ月の賃金や出勤状況等を届け出るために、会社は離職証明書を作成して、ハローワークに届け出ることになっています。その後、ハローワークから会社に離職票が交付されます。なお、離職証明書と離職票(-2)は複写式になっていて、同じ事項が記載されています。

雇用保険法施行規則を確認すると、従業員が退職したときは、退職日(被保険者でなくなった日)の翌日から10日以内に、会社は離職証明書(離職票)を添付して、資格喪失届をハローワークに提出することが定められています。

ただし、この規定の続きに、本人が離職票の交付を希望しないときは、離職証明書の添付を省略できることが定められています。

そして、雇用保険の失業給付を受給するために、自己都合で退職する者については、雇用保険の加入期間が12ヶ月以上あることが条件となっています。

したがって、入社して3ヶ月で退職した従業員は、失業給付を受給できませんので、離職票(離職証明書)は必要ないと思うかもしれません。しかし、12ヶ月以上の雇用保険の加入期間という条件については、他社での雇用保険の加入期間も通算できることになっています。

ただし、前の会社の勤務実績によって既に失業給付を受給した場合、前の会社の退職日から次の会社の入社日まで1年以上の空白期間がある場合は、前後の会社の加入期間は通算できません。

つまり、当社の勤務実績だけでは失業給付を受給できなくても、前の会社や次の会社の加入期間を通算して、失業給付を受給できる場合があります。そして、通算して失業給付を受給する場合は、両社の離職票が必要になります。

したがって、雇用保険法施行規則で定められているとおり、退職者が「離職票はいらない」と言わない限り、会社は離職票を作成しないといけません。その都度、離職票がいるかどうか本人に確認する必要があります。

また、当初は転職先が決まっていて、退職者が「離職票はいらない」と言ったとしても、後になって「離職票を作成して欲しい」と希望したときは、会社は離職票(離職証明書)を作成しないといけません。1年前に退職した者であっても、会社は拒否できません。