労働時間の短縮による資格喪失後の失業給付の受給

労働時間の短縮による資格喪失後の失業給付の受給

雇用保険に加入しているパートタイマーから、1週間の所定労働時間を16時間に短縮したいと相談を受けました。会社は応じても構いませんが、雇用保険の失業給付はどうなりますか?

雇用保険の被保険者資格を喪失して、1年が経過すると、失業給付は受給できません。

1週間の所定労働時間が20時間以上の者については、雇用保険の加入が義務付けられます。20時間未満の者は、雇用保険に加入できません。

1週間の所定労働時間が20時間以上から20時間未満に短縮する場合は、雇用保険の被保険者の資格喪失の手続きをすることになります。

普通に退職するケースでは、雇用保険の被保険者の資格喪失の手続きをして、失業状態(就職する意思と能力があるけれども就職できない状態)にある場合は、雇用保険から失業給付(基本手当)が支給されます。

しかし、1週間の所定労働時間を20時間未満に短縮して、他社で就職する意思がない場合は、失業状態と認められませんので、失業給付は受給できません。

他社で就職する意思がある場合は、失業認定申告書に就労した日や収入等を記入して、求職活動をすれば、就労した日以外について、失業認定を受けて、失業給付が支給される可能性があります。

本人が希望して労働時間を短縮する場合は、求職活動をすることは考えにくいと思いますが、求職活動をしないまま(失業給付を受給しないまま)、しばらく勤務を継続した後に退職することがあります。

失業給付を受給できる期間は、原則として、資格喪失日から1年間と定められていますので、1年後に退職すると、失業給付は受給できません。

また、1年以内に退職したとしても、1ヶ月の給付制限期間があって、失業給付(基本手当)の所定給付日数(90日、120日、150日)が1年以内に収まっていないといけません。

ところで、1週間の所定労働時間を20時間未満に変更した場合は、原則的には、雇用保険の被保険者の資格喪失の手続きをすることになっています。

しかし、本人が労働時間の短縮を申し出た事情によりますが、1週間の所定労働時間の短縮が臨時的・一時的なもので、20時間以上に戻すことを予定している場合は、雇用保険の被保険者資格は継続できます。

ただし、例えば、3ヶ月後に20時間以上に戻す予定だったけれども、結果的に20時間未満のまま3ヶ月が経過したときは、その日に雇用保険の被保険者資格を喪失することになります。なお、「臨時的・一時的」の期間は、6ヶ月程度が上限とされています。

また、育児介護休業法に基づいて、子の養育又は家族の介護のために、20時間以上に戻すことを見込んで労働時間を短縮する場合も、最長で子が小学校に入学するまで、家族の介護が不要になるまで、雇用保険の被保険者資格を継続することになっています。この場合は、数年間に及ぶことがあります。

なお、雇用保険の加入要件について、2028年10月1日以降は、法改正によって、1週間の所定労働時間の基準が、20時間から10時間に変更されます。