育児休業を与えられない
育児休業を与えられない
当社は従業員数が5人で、育児休業を取得して4人になると、経営が成り立ちません。それでも育児休業は与えないといけませんか?
育児休業は法律で定められている制度ですので、従業員が育児休業を申し出たときは、会社は拒否できません。
育児介護休業法(正式名称「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)によって、従業員は、子が1歳(状況によっては2歳)になるまで、育児休業を取得できることが定められています。
要件を満たしている従業員が、育児休業の取得を申し出たときは、会社は申出を拒否できません。小規模企業であっても免除されませんので、従業員の申出を拒否すると、法律違反になってしまいます。また、個人事業であっても、育児介護休業法は適用されます。
ただし、従業員の過半数代表者と労使協定を締結して、次の者について、育児休業の適用を除外することを定めた場合は、これらの者による育児休業の申出を拒否することが認められています。
- 勤続1年未満の者
- 1年以内に雇用関係が終了することが明らかな者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の者
これは育児介護休業法で限定的に認められていることですので、従業員の過半数代表者と合意したとしても、適用を除外する者の範囲をこれより拡げることはできません。
そして、子が1歳(状況によっては2歳)になるまで、従業員が育児休業を取得して、欠員が生じると、従業員数が少ない企業ほど影響が大きくて、仕事が回らないというケースが多くなります。短期間であれば、周りの従業員が分担して埋め合わせるとしても、長期間になると過重労働の危険が生じます。
そのため、1年や半年の期間を定めて新しく採用したり、その期間だけ派遣企業を利用したりして対応する方法が一般的です。また、業務の一部を外部に委託して対応する方法もあります。
従業員が育児休業を取得する場合は、その期間は無給で構いません。また、手続きをすれば、育児休業の期間は社会保険(厚生年金保険と健康保険)の保険料が免除されます。雇用保険については、無給の期間は保険料が掛かりません。
なお、育児休業の期間を無給とすると、従業員には雇用保険から育児休業給付が支給されます。
このように、育児休業を取得している従業員の人件費はゼロになりますので、期間を定めて新しく採用したり、派遣社員を受け入れたりしても、人件費が2倍に膨れ上がることはありません。採用の手間や費用が掛かりますが、それは従業員が退職した場合も同じことですので、可能と思います。
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