なるほど労働契約法|全21条と裁判例を分かりやすく解説

労働契約法とは

労働契約法とは、会社と従業員の契約のルールを定めた法律です。

労働契約法の成立の経緯

賃金、労働時間、休日、休暇等の労働条件の最低基準を定めた法律として、労働基準法が定められています。しかし、近年は、解雇や賃下げなど、労働基準法では対応できないトラブルが増加しています。

このようなトラブルは最終的には裁判所の判断に委ねられますが、過去の裁判例の積み重ねによって、例えば、解雇が有効か無効かを判断するルール(「判例法理」と呼びます)が確立しているものがあります。

裁判所は判例法理に当てはめて判決を下しますが、判例法理は一般の従業員や経営者には余り知られていません。そこで、判例法理を法律として整理して明らかにすることによって、労使間のトラブルを未然に防止することを目的として、労働契約法が制定されました。

労働契約法の成立による企業への影響

労働契約法は判例法理を整理したものですので、労働契約法が成立したとしても、裁判所の判断はこれまでと同じです。

また、労働契約法は労使の個別の合意を原則としている性質上、労働基準法のような罰則は定められていません。企業が労働契約法に違反していても、労働基準監督署から指導や是正勧告を受けることはありません。

しかし、法律として判例法理が明らかになることによって、従業員側から見ると法律違反を指摘しやすくなります。したがって、企業としては今まで以上に慎重な対応が求められます。

なるほど労働契約法

労働契約法とは、前述したとおり、判例法理を整理した契約上のルールを定めた法律です。また、判例法理は裁判の積み重ねによって確立します。つまり、労働契約法で定められている規定については、それだけ労使間でトラブルに発展しやすいということです。

トラブルが大きくなる前に、労使双方が労働契約法の規定の内容を理解していれば、トラブルを予防できます。

「なるほど労働契約法」では、解雇、懲戒、労働条件の変更、就業規則の変更、有期労働契約の更新など、労働契約法の全部の条文について、社会保険労務士が会話形式で分かりやすく解説しています。専門外の方でも理解しやすいように、専門用語はできる限り使用していません。

従業員から相談があったり、会社が就業規則や労働条件を変更したりする場合に、「なるほど労働契約法」で行っている会話と照らし合わせて、労使間の話し合いに役立ててもらえると嬉しいです。

「なるほど労働契約法」は、令和8年1月1日時点で、令和2年4月1日施行の直近の最新の労働契約法に対応しています。なお、旧第20条の「同一労働同一賃金」の規定は重要事項ですので、あえて残しています。

労働契約法(全21条の構成)

労働契約法は、次のとおり21条で構成されています。

第1章 総則

第2章 労働契約の成立及び変更

第3章 労働契約の継続及び終了

第4章 期間の定めのある労働契約

第5章 雑則

労働契約法から漏れた裁判例

現在施行の労働契約法で定められているのは、以上のとおり全部で21条です。しかし、労働関係の判例法理はこれだけではありません。

労働契約法を制定する際に検討されたけれども、見送られた内容がいくつかあります。その当時、労働契約法の成立を最優先にしたため、小さく生んで大きく育てようという話があったようです。

以下では、法制化が見送られたけれども、判例法理として確立している内容及び裁判例を紹介しています。

どれも労働関係で無視できない内容で、将来、労働契約法に追加される可能性があります。これを知っていれば、更に労働契約法の知識が深まります。


社会保険労務士 木下貴雄

執筆者:社会保険労務士 木下貴雄【 登録番号 第27020179号 】
就業規則を専門とする社会保険労務士です。メールを用いた関連サービスは20年以上の実績があり、全国の中小零細企業を対象に、これまで900社以上の就業規則の作成・変更に携わってきました。